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初詣
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★【七啓+部神】啓太視点

「うわぁ、人凄いですねぇ」

1月2日。学園島からバスで少し行った所にある神社に来ていた。元日を避けて七条さんと二人で初詣なんだ。
元日は混むだろうと思って少しずらした筈なんだけど同じ考えの人が多いのか結局それなりには混んでいた。

「はぐれてしまわない様に手を繋ぎましょうか」
「えっ」

そっと手を握られて、嬉しさと恥ずかしさと
こんなに人が沢山いる所で繋いで変に思われないかという気持ちが混ざりあって変な顔になっていたらしい。

「伊藤君、大丈夫ですか?」

心配しながらもクスクスと笑っている七条さんは俺の顔がコロコロ変わる様がとても可愛らしかったと言うけどそれは七条さんだけであって他の人からみたら多分変だったと思う。

「ととと取り敢えずお参りです!並びましょう!」
「はい」

人の多さの割にはスムーズに流れてあっさりと自分達の順番がまわってきた。
鈴を鳴らし、お賽銭を入れ二礼二拍手一礼。
今年も七条さんと良い年を過ごせます様にとしっかりとお願いをして列を離れた。

「無事にお参りも終わりましたし、この後はどうしましょうか」
「あ、恒例的な感じでおみくじやります?」
「おみくじですか。初めてです」
「なら、尚更やってみましょう」
「そうですね。楽しみです」

毎年自分の引くおみくじは必ず大吉が出るのは分かっているけど、こういう所へ来るとついつい引きたくなってしまうのが不思議だ。
おみくじの出来る場所へと着くと叫び声が聞こえてきた。

「っ!!び、びっくりした…」
「何かあったのでしょうか?」

声の聞こえてきた方を見るとこの間の子達が…。

「うるせー…」
「だって…き…凶って…」

ガックリと肩を落とす神尾君とそれを面倒くさそうにみている跡部君がいた。

「神尾君」
「??……あ、えっと、イトーさん!」

声をかけると少しキョロキョロとした後、此方に気が付いて駆け寄ってきた。
神尾君の後ろからゆっくりと向かってくる跡部君にペコリとお辞儀すると跡部君もお辞儀してくれた。

「お久しぶりです!」
「久しぶり。おみくじ引いてたの?」

さっき『キョウ』とか言っていた様だし、おみくじ引く箱がある所の前だから間違いないかなと思って聞いてみたんだけど…。
神尾君が沈んでいくのが分かった。
『キョウ』ってやっぱり『凶』の事だったんだろうか。

「聞いてくださいよう!凶だったんですよ凶!…一番悪いやつじゃないですか!」

いや、一番悪いのは大凶なんだけど。

「跡部なんか大吉だったんですよ!」

ぷりぷりと頬を膨らませながら悔しがる神尾君に七条さんが話しかけた。

「一番悪いのであれば後は上がるだけという考えも出来るのでは?」
「え?」
「それ以上、下がりようがないのであれば後は上昇するだけだと思ったのですが」

この考え方は違いますかねと聞いて来る七条さんに間違ってはないと思いますよと言った。神尾君も何だかそれに納得してる風なんだけど……もうこの状況ではまだ大凶があるなんて言えなくなってしまった。
ちらりと跡部君を見ると跡部君も此方を見ていて目が合うと二人でため息を溢してしまった。

「では、伊藤君僕達もやりますか?」
「あ、はい。そうですね」

お金を払い、御神籤箱を軽く振ってから逆さにして出てきた棒に書かれた数字を係りの人に言ってみくじ箋を受け取った。
七条さんも受けとるのを待って一緒に開く。

「あ、伊藤さん大吉!」
「うん」

すげぇ〜と目を輝かせる神尾君。
毎年同じ大吉の文字に苦笑してしまう。

七条さんは?と見ると少し困った顔をしていた。

「七条さん?………あ、」

……大凶。
神尾君も目を見開いてビックリしながら大凶の事忘れてたなんて言っている。
そっか、忘れてたんだね…。

「ありましたね。凶の上」
「すみません。言いそびれました」

いや、でも、まさか、大凶が出るだなんて思わなかった。
こういうお正月の時にはさすがに大凶は抜いて置くんじゃないのかなんて勝手に決めつけていたのもあるけど。

「やはり、自分の所に来ると結構なダメージがありますね」
「そうですね」

そうですねと言ったものの大吉しか引いたことのない俺にはおみくじからのダメージがちょっと分からないけど、やっぱり新年早々にっていうのは辛いかも。しかも七条さんは初めてですって言ってたのに………あっ!

「七条さん、そのおみくじ貸して下さい」
「?」

俺は七条さんの大凶おみくじを受けとると自分の大吉のおみくじに重ねて丁寧に長細く折ると近くの木に結んだ。

「あ、ごめんなさい勝手な事をして。大吉と大凶で一緒にしちゃえば間を取って吉かななんて…すみません」

少し考え方が幼稚だったかななんて思って反省してたんだけど、七条さんは凄く嬉しそうにしてくれて何だか俺まで嬉しくなった。
で、そこからちょっと二人の世界に入ってしまっていて気付いたら近くにいた神尾君の顔が真っ赤っかになっていた。

「うわ!神尾君!大丈…っ!!」

スパーンと神尾君から良い音がして、え?!と思ったら跡部君が神尾君の頭を叩いていた。

「いってぇ!!」
「見過ぎだ。ほら、お前のも貸せ」

神尾君からおみくじを取った跡部君は俺と同じ様に重ねて折り木に結んだ。
神尾君が恥ずかしそうに跡部君に有り難うと言って、跡部君は満足そうな顔をしながら神尾君の頭をぽんぽんと撫でた。そんな微笑ましい光景を見た後皆で甘酒を貰い飲んでから別れた。

「神尾君にも再会できたし楽しかったですね。あ、でも」
「いいえ、大凶は出てしまいましたが伊藤君が対処してくれましたし、とても良い経験が出来ましたよ」
「今年も良い年になると良いですね」
「そうですね」


2016/1/2


これ以上文章纏められなかった(汗)
本当は甘酒飲むシーンもちゃんと書きたかったけど力尽きました無理でした。
あとすみません、七条さん勝手に御神籤初めてってしましたが大丈夫でしょうかね。
※大凶、凶の意味は反省して改善しなさいだとか頑張りなさいとか他にも色々意味があるようですね。今回七条さんに言わせたこれ以上下がらないというのは私が小さい頃凶を引いた時親に言われた事でした。


2016/5/25微修正


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